2010年07月02日

ビラヴド

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トニ・モリソンの、ピュリッツッァー賞受賞作
「ビラブド」お店で読了。

トニ・モリソンはアメリカの女性黒人作家で
黒人の問題を書き続けている。

昔20年以上前ですが、大学で
アメリカ文学を専攻してたので
トニ・モリソンやアリス・ウォーカーを読んだのを覚えています。
抑圧された黒人の歴史を、
当時評判になったドラマ「ルーツ」と一緒に
見て読んで、消化したつもりだった。
その頃、わたしもすごく抑圧された生活で
人生に行き詰まっていたので
お風呂の中でアリス・ウォーカーを読みながら
おんおん泣いたことも覚えてる。
その文庫本の表紙の絵まではっきり覚えているし、
今読んでも、アリス・ウォーカーは泣いちゃうと思う。

でも、トニ・モリスンを今改めて読むと
自分がいかに何もわかってなかったかに気付きます。
何でも自分の問題に引きつけないと理解できなくて
自分の人生と重なるところで
自分流に勝手に共鳴してただけで
全然注意深く読んでなかったなぁ。
今、ではよくわかってるのかというと謎ですが
この小説がすごいことは、わかる。

奴隷問題は差別の問題とひと言で言ってはいけないと思った。
差別は結果であって
もっと根本的なところを見ないと行けないのではと。
希望という概念を知ることなく、
従って絶望を悲しむすべもなく、
自覚のない絶望だけがあらかじめインプットされている人生。
人間の尊厳、その、学ばなくても持っている
最も本質的な部分を殺され続けるのは
世界中の何より愛する我が子を、殺すほどの苦しさなのか。

もちろん、奴隷を人間と思わず
どんなひどいことも平気でできながら
良き市民、良き国民、さらにはよき人間
よきキリスト者であるつもりの自分たちに
何の疑問も抱かない白人たちには
やはり差別の問題を考えずにいられないけど、
差別は想像できても、それに付随する暴力が想像できないわたしには
すでに理解の範疇を超えていて
ただ暗澹たる気持ちになるばかリ。
人間と言うのはこんなに愚かになれるのだと。
その一方セサやポールDの強さ聡明さ心の大きさに
こんなに美しくもなれるのだと
気持ちの揺れ幅がハンパなかったです。

黒人コミュニティの中での妬みや嫉妬の感情も
あますところなく書かれているのが苦しくて
人間の醜さも美しさも
全部許容するだけの心の深さは
わたしには、まだまだ持てないよと思いました。

話は神話風なところもあり面白いのに、
読むのにすごく消耗したので
トニ・モリソンの別の本も読みたい気持ちが強いながら
当分は読めないと思います。
でも、これは本当に大作。傑作。
100年後に残すべき偉大な本と思います。
posted by mintcafe at 14:11| Comment(0) | TrackBack(0) | mintの本棚より | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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