2011年06月25日

どんぐりと鳥の巣

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数年前から、自分が花や木の名前を知らないことにうんざりして
図鑑っぽい本を何冊も買っては
この木はこれかなぁ、などと調べているのですが
絵本でも、図鑑っぽいものは好きです。

「鳥の巣みつけた」は
色鉛筆で描かれたいろいろな鳥の巣の絵本。
いやぁ、いろんな巣があるものだなぁ。
日本だけでなく世界の鳥の巣も描かれています。
それはそれは不思議な巣もたくさんあります。
カフェミントの軒先にも、ツバメが巣を作りかけていて
楽しみにしていたのに
なぜか途中で壊れてしまい
結局そこは活用されないままでした。
来年また来て、今度は上手に作ってくれるといいなぁ。
文と絵を描いた鈴木まもるさんという画家は
鳥の巣研究家という肩書きも持っています。

「ぼくのドングリ図鑑」
ドングリは、鳥の巣ほどの変わり者ドングリは少なくて
一見似たようなものが多いけど
どれも、なんとなくかわいくて好きです。
この本の好きなところは、
いろんな種類のドングリを描いているだけじゃなく
同じ種類のドングリでもひとつひとつ形は違って
人間と同じように少しずつ個性があるというのを
ページいっぱいの絵で描いているところです。
シラカシやコナラという、
わりとありきたりな木のありきたりなドングリを
1ページに1種類100個以上丁寧にひとつずつ描いているのをみると
本当にドングリが好きなんだなぁと思う。
小さな違いに目を向けられる人は
ものがよく見える人です。


作られた物語からも多くのことが学べるけど
ただ、どこかにあるものを丁寧に描いた図鑑からも
たくさんの物語を楽しめるのですね。
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2011年06月08日

絵本「おはなしのもうふ」

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「おはなし」というのも「もうふ」というのも
好きな言葉ですから、
この絵本は読まなくても好きだとわかっていました。

雪深い村でカラフルな「おはなしのもうふ」に座って
ザラおばあちゃんのお話を聞くこどもたち。
でも、ある冬、おなはしのもうふがどんどん小さくなっていき・・・

すぐに予想できるお話で予想できる終わり方だけど
カラフルなモチーフ編みの大きな毛布や
マフラーやエプロンの絵を見ているだけで楽しい絵本です。
そして毛糸のコートを着た黒猫や
むくむくした足の子供たちの絵にはスタイリッシュなところがあって
かわいいだけでなくデザイン的にも優れた絵本です。

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当分、毛布の季節は来ないけど(季節はずれでゴメンなさい)
カフェミントにも、手編みのブランケットが何枚か置いてあります。
寒くなったら手にとって眺めてください。
そんな毛布の編めるニットカフェも
毎月第1水曜日にやっています。
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2010年09月07日

ボローニャ国際絵本原画展の図録

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中学生だった30年前からとぎれとぎれでも行き続けていて
もう恒例行事になっている
ボローニャ国際絵本原画展の図録です。

絵本原画展、CG作品が増える段階はとうに終わり、
ここ数年はエッチングなど銅版画が増えてた気がするけど
今年は色鉛筆やマーカー、アクリルや水彩などの
生な画材を使ったものが多かった気がする。
この10年で初めての傾向と思います。
とはいえ、生画材だけよりCG加工したものの方が
多いのは多い、と思う。

絵本というものは、とても頭が柔らかくなり、
絵を描く時に、ああ、何をやってもいいんだ、
という自由な気分を持つためのお守りのような力があると思います。
原画を見ると印刷したものを見る気にならず
美術展で図録を買うことは少ないのですが
今回は買ってみました。
原画の良さを思い出しながら、ゆっくり見るのもいいものです。
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2010年09月03日

写真集「at Home」

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上田義彦の「at Home」というモノクロ写真中心の
家族の日常写真集です。
広告写真で有名な人で、奥さんは桐島かれん。

桐島かれん、特に興味もなかったし好きな顔でもなかったけど、
この写真集は予想外によかった。
全然カッコいい写真じゃなく、
家族の幸せが、全く押し付けがましさなしに
ぼんやりとノスタルジックに写されていて、胸を打つ。
幸せというものをここまで構えずに何気なく撮って、
しかも余分なものが全然ない。
子どもも犬も猫も風景も、
何もかもが日常的に等身大で大げさなところがどこにもないのです。
するりと見る人の中に入ってくるので
分厚い写真集だけど、一晩中何度も何度も見てしまった。

写真集にしては小型だけど
内容に丁度合った大きさでパーフェクト。
ハードカバーじゃない、どこまでも偉そうなところのない装丁にも好感がもてる。
でも分厚くて写真も多くて、たっぷり楽しめます。
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2010年07月23日

ピカソのオブジェ写真集

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特別なお気に入りというわけじゃないけど
普通に好きですね、ピカソ。

もう、アクの強さ、人間くささプンプンなので
何しても、裏側見ても仕方ないなぁと思ってしまうというか
やっぱり天才と思う。

これはピカソの絵画以外の作品を集めた写真集。
オブジェとか、ただ、その辺の紙を
びりびり破いただけのものもある。
そんなかけらも確かにピカソなので面白い。
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この写真集を買った時のことをよく覚えている。
クアラルンプールの紀伊国屋さん。
奥の階段を上がったところだったかに
美術本のコーナーがあって
その横にカフェがあった。
ビニール張りの安いソファの
カジュアルなカフェだったけど
いつもすいてて
わたしは本や書き物を持って
ソファの上にあぐらをかいて時間をつぶしたものだ。

誕生日前後の雨の日で、同じ建物内にあるホールで
マレーシアフィルの演奏を聴いた帰りだった。
ピカソのこの本は大きくて重くて高くて
少し前から買おうかどうしようか迷ってたのだけど
えいと買ってしまった。誕生日だし。
カフェで、できるだけ時間をかけて
ゆっくり見たなぁ。

激しいスコールが降ると、道が川になっちゃったりして運転が危ないので
こういうカフェに閉じ込められて、
エアコン効きすぎの湿った寒さの中で
写真集や画集をゆっくり見た時間が懐かしいです。
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Benjamin Katz のポートレイト写真集

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お店の本棚の写真集から1冊。
こういう本は重くて、中々本屋で気に入っても買えないし
アマゾンとかで見ても、高い本なので実物見ずに買うのが難しいけど
そのとき買わないと再版しないモノが多いので
買った方がいいですね。
と言いつつ、ここ数年大きな本は買ってないけど。

これはBenjamin Katz と言う写真家の
ポートレイト集というか
人の写真ばかりの本です。
人の写真は面白い。
スタイリッシュで構図のきれいなかっこいい写真で
有名人も多数いるけど
薄っぺらじゃなく中々想像力をかきたてる。
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無名(か、わたしの知らない)の人の写真でも
見ているといろんなストーリーがみつかりそうで
時間をかけてゆっくり見たいです。

元々、知らない人を見ても勝手にストーリーを考えるのが好きなわたし、
1枚の写真でも、表情を含め多くの情報が隠されていて
その人がどんな人でどういう人生を歩んで来て
今どういう気持ちなのか、勝手にどんどん創作します。
マレーシアでマレーシアフィルの演奏をよく聴きましたが
小さめのホールでオケメンバーの表情もよく見え
何度も行くうちに、それぞれのメンバーの
性格、家庭、人間関係など
テレビドラマばりのストーリーを勝手に考えて
毎回楽しんでいたのでした。
あの新しいオーボエの小柄な金髪男子は
フルートの子にひと目ボレするけど
フルートの子はクラリネットの彼とこっそり付き合ってて・・・とか
コンマスのスェーデン人は根はいい人なのに
口べたで人望がなく
セカンドのドイツ人に助けられてて、とか(笑)。

それと同じように、ポートレイト写真を見ても
この女性はこういうつらい恋をしてて
先週恋人とこういうことがあって
たった今こう考えていたところで、
何てことを小説書くように考える。
そういうのが楽しい写真集です。
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2010年07月06日

村田エフェンディ滞土録

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こんなパソコンなんかなかった明治の時代、
土耳古(トルコ)への留学生、村田のお話です。

以前住んでいたマレーシアを思い出します。
どちらもイスラムの国で、
どちらも多民族・他宗教がせめぎあいつつ、
なんとか均衡を保って共存している。

自分とは違うものやことに対して、
理解はできないけど容認はする、という
作者がいろんな作品で繰り返してきた姿勢が
その均衡には現れていると思います。

後半大きく動く時代の波の中で、
登場人物それぞれの境遇も変っていき、
最後わたしは淋しくなって泣いてしまいましたが
残ったのは年取った鸚鵡と
その言葉だけではないのだということは
しっかりわかります。
前作?「家守綺譚」で主人公だった綿貫が、
この本の中で言う言葉
「歴史というのは、物に籠もる気配や思いの集積なのだよ、
結局のところ。」
ということと繋がっていると思います。

とはいえ、全然難しい主義主張の本ではなく
とても繊細でゆったりした、青春の物語でもあります。
子連れで8年住んだマレーシアも
わたしには青春の物語だったのかなぁと
彼の地のあれこれがとても懐かしくなりました。
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2010年07月03日

桜の森の満開の下

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文庫なのに1000円を超える本で
でも読み応えはあります。結構盛りだくさん。
表題の作品や「夜長姫と耳男」は寓話風で面白く
一気に読めるけど、たまに、はっとする。
ああ、この人はわかっているのだという気持ちが
安吾に対して浮かぶのは古里や家に対するアンビバレントな心情だろうか。
「道鏡」もある意味「家」の話ではある。
延々天皇家の歴史の叙述が続き、
女帝の時代が続く頃にはそういう小説だと思って読んでいたのに
道鏡が出てきたところで、急に
わたしから見ると、すごく濃いラブストーリーに転調してしまった。
読み終わっても体の力が抜けてしまう程、濃厚。
清い高潔な2つの魂が出会ったことによる
あまりに完璧な調和の愛。
って書くと陳腐に響くかもしれないけど
うあー、というか、ふわ〜、というか
目がくらみそうです。
孝謙天皇は50歳間近で道鏡と出会った。
自分は自分のレベルでしか人と出会えないのはわかってるけど
完璧すぎてこわいようなこういう恋愛、憧れるなぁ。

安吾の書く恋は本当に切ない。
「紫大納言」は贅肉が人の姿を借りたような
醜い色好みの中年男。
これが人生初めての本当の恋に落ちた。
ずるくひとりよがりで醜い中年男だけど
この恋だけは本物で、どこまでもその恋だけの男になってしまい
ついには自分自身というものさえ消えはて
ぼろぼろになって死んでしまう。
こんな中年男に共感させられてしまうじゃないか!
安吾はこういう神様の愛のようなことを書く。
でも外側から見て読んでいるこっちは
本当に切なくなる。
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2010年07月02日

ビラヴド

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トニ・モリソンの、ピュリッツッァー賞受賞作
「ビラブド」お店で読了。

トニ・モリソンはアメリカの女性黒人作家で
黒人の問題を書き続けている。

昔20年以上前ですが、大学で
アメリカ文学を専攻してたので
トニ・モリソンやアリス・ウォーカーを読んだのを覚えています。
抑圧された黒人の歴史を、
当時評判になったドラマ「ルーツ」と一緒に
見て読んで、消化したつもりだった。
その頃、わたしもすごく抑圧された生活で
人生に行き詰まっていたので
お風呂の中でアリス・ウォーカーを読みながら
おんおん泣いたことも覚えてる。
その文庫本の表紙の絵まではっきり覚えているし、
今読んでも、アリス・ウォーカーは泣いちゃうと思う。

でも、トニ・モリスンを今改めて読むと
自分がいかに何もわかってなかったかに気付きます。
何でも自分の問題に引きつけないと理解できなくて
自分の人生と重なるところで
自分流に勝手に共鳴してただけで
全然注意深く読んでなかったなぁ。
今、ではよくわかってるのかというと謎ですが
この小説がすごいことは、わかる。

奴隷問題は差別の問題とひと言で言ってはいけないと思った。
差別は結果であって
もっと根本的なところを見ないと行けないのではと。
希望という概念を知ることなく、
従って絶望を悲しむすべもなく、
自覚のない絶望だけがあらかじめインプットされている人生。
人間の尊厳、その、学ばなくても持っている
最も本質的な部分を殺され続けるのは
世界中の何より愛する我が子を、殺すほどの苦しさなのか。

もちろん、奴隷を人間と思わず
どんなひどいことも平気でできながら
良き市民、良き国民、さらにはよき人間
よきキリスト者であるつもりの自分たちに
何の疑問も抱かない白人たちには
やはり差別の問題を考えずにいられないけど、
差別は想像できても、それに付随する暴力が想像できないわたしには
すでに理解の範疇を超えていて
ただ暗澹たる気持ちになるばかリ。
人間と言うのはこんなに愚かになれるのだと。
その一方セサやポールDの強さ聡明さ心の大きさに
こんなに美しくもなれるのだと
気持ちの揺れ幅がハンパなかったです。

黒人コミュニティの中での妬みや嫉妬の感情も
あますところなく書かれているのが苦しくて
人間の醜さも美しさも
全部許容するだけの心の深さは
わたしには、まだまだ持てないよと思いました。

話は神話風なところもあり面白いのに、
読むのにすごく消耗したので
トニ・モリソンの別の本も読みたい気持ちが強いながら
当分は読めないと思います。
でも、これは本当に大作。傑作。
100年後に残すべき偉大な本と思います。
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2010年05月17日

ベアト・アンジェリコの翼あるもの

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お店のヒマな時には本を読むのだけど
店の本棚は基本的に全部自分の読んだ本ばかりなので
内容はわかっている。
わかっててもいい本はいいので
今はアントニオ・タブッキの
「ベアト・アンジェリコの翼あるもの」という短編集を読んでいます。
この中の、表題の作品は天使の話。
フラ・アンジェリコの絵画に描かれた天使のことで
これは実際に現れたものを描いたというその経緯というか
あっさりしたスケッチのような掌編なのだけど
すごくいい。いいとしか言えないなぁ。
静かで、甘くない宗教的な寛容さがあって、
淡々とした距離感もあって、美しい短編です。
お客様がいないのをいいことに
ところどころ声に出して読みました。
心の中も静かになります。
短編一つ読むと、一度本を閉じて
しばらく余韻に浸ってしまうような本です。
タブッキの本は本棚に数冊ある。
しばらくタブッキ三昧でいきます。
・・・あ、いや、本よりお客様の方が好きですよ。
遠慮なく読書の邪魔をしに来て下さい(笑)
(日月定休ですが)
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